匿名組合とは
不動産特定共同事業において最も利用されている契約形態である「匿名組合」の仕組みや匿名組合員(出資者)の権利・義務等について説明します。
匿名組合契約とは
当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資された財産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる利益の分配を行うことを約する契約をいいます。 匿名組合契約は、もともと商法において定められており、その仕組を不動産特定共同事業において利用しています。不動産特定共同事業以外でも、金融商品取引業によるファンドでも数多く利用されています。
匿名組合の特徴
匿名組合では、出資した財産の権利(不動産の所有権など)は事業者に帰属し、また、事業の業務執行は事業者のみが行うことができます。
匿名組合における出資形態
匿名組合では、匿名組合員(出資者)は金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができます。 したがって、任意組合では可能な労務出資や信用の出資は認められていません。
匿名組合員の権利
匿名組合においては、組合財産の所有権は事業者に帰属するため、匿名組合員は出資財産に対する財産上の持分を持たず、債権上の権利を有することになります。 具体的には、利益分配請求権(匿名組合の事業から得られた利益から、一定の利益配分を受ける権利)と、出資価額返還請求権(出資財産を金銭的に評価された出資価額の返還を求める権利)を有します。 また、匿名組合員は業務執行権を有しませんが、事業者の営業を監視する権利を有します。
匿名組合員の義務・責任
匿名組合員は、匿名組合契約に基づく出資義務と、出資した財産の範囲内で損失を負担する責任(有限責任)を負います。匿名組合員は、対外的に第三者との関係では義務・責任を負いません。 また、追加出資についても、契約で定められていない限り、義務を負いません。
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